犬の肉球が赤くなる趾間炎(しかんえん)の原因の1つにトリミングが挙げられます。その他にも肉球が赤い原因はあるのですが、散歩やトリミング後に愛犬が足を舐めたり噛んだりするようになったら要注意。しっかり肉球の周りの観察をしてください。
犬の肉球が赤くなる趾間炎の原因とは?
犬の趾間炎(しかんえん)の原因は次のようなものです。外傷、皮膚炎、アレルギー、爪の疾患、ストレス、汚れ、感染症、ヤケドなど。それでは、どのような場面で趾間炎となってしまうのでしょうか?
趾間炎になってしまう原因の1つにトリミングが挙げられます。トリミングのメニューにある『足先バリカン』『足裏バリカン』・・・足先もしくは足裏にバリカンを入れることになるのですが、犬によってはバリカンで被毛を刈り上げた肉球付近にチクチクと痒みや違和感を感じることがあるのです。そして、その違和感が気になって、犬は舐めたり噛んだりしてしまいます。結果、趾間炎となってしまうのです。
このため、トリミングで足先バリカンや足裏バリカンを実施するときには、トリミング後の観察が必要になります。また、散歩中の外傷による趾間炎も多く見受けられます。
- 何かを踏んでしまって傷が付いたことによる趾間炎
- 肉球のヤケドによる趾間炎
猛暑日はアスファルトの温度が高温になることも珍しくありません。
犬は傷やヤケドを治そうとして舐めてしまいます。結果、傷口で細菌が繁殖し、炎症が悪化することも少なくありません。さらに炎症がひどい場合は、ノミやダニなどの寄生虫、細菌、真菌などによる感染症が原因となっている可能性もあります。それ以外にも、犬の足先はアトピー性皮膚炎や食物アレルギーといったアレルギー皮膚炎の症状が出やすい場所でもあります。
アレルギー性の皮膚病は生後6か月から3歳頃に最初の症状が出るのが一般的で、症状が落ち着いたり悪くなったりを繰り返してしまいます。
犬が趾間炎の時に見られる症状
犬の趾間炎の主な症状として、肉球の間の皮膚が赤くただれたり、腫れたりする外的な症状がみられます。
最初は赤いできものができているように見えることもあります。
また、炎症を起こすと痛みと同時に痒みも感じるため、肉球を舐めたり噛んだりしてしまうことでさらに炎症が進むと、化膿して膿が出たり、出血したりすることもあります。
時には足先全体が腫れ上がり、びっこを引くこともあります。
犬は肉球に痒みを感じると前歯で細かく掻くように噛むことがあります。
この行動は趾間炎でない場合にも見られることはありますが、執拗に繰り返す場合は注意して観察しましょう。
観察しても初期段階では皮膚が少し赤く見える程度であることが多く、大したことはないかなと判断しがちですが、炎症程度だからといって犬が肉球を舐め続けるのを放置してはいけません。
犬が肉球を舐め続ける事によって細菌が繁殖しやすくなり、趾間炎がどんどん悪化してしまうことになります。特に犬の肉球から生臭いニオイがする場合は、炎症が進んで化膿している可能性が高いため、早急に動物病院で受診しましょう。
犬の趾間炎の治し方
一般的に治療法としては、炎症を抑える抗炎症剤や抗生剤などの外用薬やステロイド剤などの内服薬を処方されることがほとんどです。まずは塗り薬を1日1~2回患部に塗布し、症状が悪化しないように様子を見ます。薬にはリンデロン軟膏やビクタス軟膏が処方されることが多いようです。これらは人間の皮膚炎にも利用されるステロイド剤でもあり、痒みと炎症を抑える効果が期待できます。
また、痒みが強く薬を塗っても舐めてしまう犬の場合は、エリザベスカラーや包帯などで患部を舐めさせないようにすることも必要です。同時に、散歩後などには消毒薬で指の間を拭いたり、シャンプー後はしっかり洗い流すようにしたりと患部を清潔に保つことを意識しましょう。
何度も症状を繰り返す場合は、皮膚が壊死するのを防ぐために外科手術が用いられる場合もあります。しかし、症状が軽度なうちに発見、治療することができれば自然治癒も望める病気でもありますので、早期発見、早期治療を心がけたいです。
趾間炎にワセリンやオロナインはNG
ネットなどでの情報で、ワセリンやオロナインなど市販薬を使って治ったなどの情報が出ていますが、ワセリンは肉球の乾燥防止として塗るのには問題はありませんが、趾間炎を治す目的でワセリンを塗っても、慢性的に症状が続いてしまうだけです。まずは病院で診断を受けて正しい治療をしてあげることが何より大切です。
実際に病院へ行くとワセリンの塗布を指導されることもありますが、多くは薬が処方され、薬を塗った後での乾燥防止としての役割に過ぎません。ワセリンだけで趾間炎が完治するということはないので注意してください。
犬の趾間炎の予防方法
犬の趾間炎を予防するためには、まず肉球を清潔に保つことが重要です。散歩から帰ってきたら足を洗う習慣を付けましょう。また、肉球を濡れたまま放置しておくと細菌が繁殖しやすくなるため、指の間までしっかりと乾かしてあげることも必要です。
次に、犬の趾間炎の原因として肉球にできた小さな傷が原因となることも非常に多いので、お散歩中の怪我や乾燥によるひび割れなどには十分に注意しなくてはいけません。肉球が柔らかく怪我をしやすい犬の場合は、犬用の靴下や靴などを利用するのもいいと思います。また高齢犬になると肉球が乾燥しやすくなるため、犬が舐めても害のない犬用肉球クリームなどを定期的に塗ってあげるのもおすすめです。
愛犬が執拗に肉球を舐めていることに気づいたら、すぐにエリザベスカラーを着用して舐めさせないようにしたり、包帯などで患部を保護したりして早急に動物病院を受診しましょう。
まとめ
散歩もトリミングもさせずに過ごすことはできませんよね。しっかり観察をして、とにかく舐めさせないようにすれば悪化することは防げます。人間でも痒みが止まらないのはツライですよね。愛犬が趾間炎になって痒みに苦しまないよう、日々対策をしてあげることや、万が一症状が出たかなと思った時は早めに病院に連れて行ってあげてください。